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Dr.タウチのMM通信


【第1回】斜め上の話

ハンター諸君! 初めまして!
『メタルマックス4 月光のディーヴァ』(以下、『MM4』と呼ぶぜよ!)はいかがでしたか!? めいっぱい楽しんでいただけているでしょうか? すでにクリアして、2周目、3周目に挑戦している人もいるよね、きっと!

今回からはじまるこのコラムでは、『MM4』でディレクターを務めさせていただいた私、Dr.タウチが、ゲームを作っていて気づいたことや、ゲーム開発の舞台裏などを書いていこうと思ってます。まず最初は……『MM4』がフルポリゴンになった経緯から!

……と、その前にちょっとした余談を。

『メタルマックス3』(以後、『MM3』)では、斜めの移動が出来ないと、大不評をいただいてしまいました。でも、そこにはやむを得ない事情があったのです。なぜ、斜め移動が出来なかったのか?

正しくいうならば、「出来なかった」のではなく、「したくなかった」のです。したくなかった理由は……その前ニンテンドーDSで開発していた、あるゲームでの失敗です。そのゲームには、移動のときにハマってしまうという、めっそトンデモナイ現象を残してしまったんです。そのトラウマがあったので、『MM3』で斜め移動を採用することをためらったんです。

その次に作った『メタルマックス2:リローデッド』(以後、『MM2R』)では、やはり斜め移動を組み込むことにしました。けれど、『MM3』のプログラムのままでは、斜め移動で壁をすり抜けたり、壁にハマったりする可能性があります。だから『MM2R』ではこの部分に関わるプログラムを全面的に組み直しました! 『MM2R』はよく『MM3』の使い回しだといわれたりしますが、けっこうな部分を新規で作り直したりしてるんですよ~。

さて、本題にもどりましょう。

なぜ『MM4』がフルポリゴンになったのか? それは……ひと言でいうと「フルポリゴンにしたかったから」。ダッハッハ!!

 

以前、途中まで作っていた『メタルマックス ~ワイルドアイズ』は、フルポリゴンでの制作にチャレンジしていながらも、様々な事情で、世に送り出すことができませんでした。けれど、そのときの経験で私やミヤ王の頭の中には、これからの『メタルマックス』の世界は3Dポリゴンでなければ表現できない! という実感があったのです。

『MM3』のときは、ハードのスペック的にもフルポリゴンで作るのは無理がありました。いや、やれば出来たのかもしれませんが、フィールド上ではクルマが1台しか表示できないとか、いろいろ支障が出ただろうと思います。『MM3』は、1作目や2作目のときのゲームシステムや手触り感を目指していました。そのためには、“クルマが1台しか表示できないかもしれない”という選択肢を選ぶことは出来なかったのです。

『メタルマックス』シリーズは、様々な場面でクルマのグラフィックが登場します。少なくとも1種類のクルマにつき、「移動時」「戦闘時」「強さ画面」の3種類の絵が必要です。これらすべてに2Dのドット絵を描き起こすとなると、それなりのコストがかかります。それを解決するのが、クルマのポリゴン化でした。一度ポリゴンでモデルを作ってしまえば、どんな場面でも、どんな角度でも、そのモデルを流用できるからです。

こうしたいろいろな問題をクリアして、『MM4』では、ついにフルポリゴン化を実現させた、というわけです!

わざわざそんな苦労をせずに、『MM3』や『MM2R』の素材を使ってでもドット絵のテイストを継続してほしかった、というユーザーも多いかもしれません。その気持ちは……私にもわかるぜよ!

では、ここでもうひとつ説明しましょう。『MM4』では『MM3』や『MM2R』のグラフィック素材はそのまま使うことが出来ないんです!

「メタルマックス2:リローデッド」 「メタルマックス4 月光のディーヴァ」

その理由は、液晶画面の解像度にあります。3DSの上画面は「ヨコ400×タテ240」、DSの場合は「ヨコ256×タテ192」。単純に、画面が大きくなっただけのように思えますが、1ドットのサイズが少~し小さくなっているんです。3DS本体でDSのソフトをノーマルモードで起動するとどれほど小さくなるか、おわかりでしょう(3DS本体には「DSモード」という画面を拡大する機能があって、通常、皆さんが3DSでDSのソフトを遊ぶときは、このモードを起動させていますよね)。
※「DSモード」・・・DSのソフトを3DS本体でプレイするとき、STARTもしくはSELECTを押しながら起動すると、画面サイズが最適化される機能のこと。

そんなわけで、『MM4』も『MM3』や『MM2R』のようにドット絵で表現しようとすると、新たに素材を作ったり、『MM3』や『MM2R』で登場したものを流用する場合にしても、やはり作り直さなければならいのです。

それでもまだ「ドット絵の方がよかった!」と思われるユーザーは多いでしょう。では、ここで少し未来の話をしてみます。

例えば、「プレイステーション4でメタルマックスの新作を!」とか、「3DSの次に発売される携帯ゲーム機でメタルマックスの新作を!」などとなった場合、おそらくドット絵ではまたゼロから描き直す必要に迫られます。プレイステーション4はもちろんのこと、次世代の携帯ゲーム機の画面の解像度がいまの3DSと同じままだとは思えないからです。

しかし、これがポリゴンのデータであれば、ある程度は融通が利きます。もちろん、使えるポリゴン数がぐっと増えるので、モデルは作り直しになるでしょう。でも、モーションのデータなどは、引き続き使えるものが多いと思われます。そして、こうしたデータの蓄積が開発コストを減らす一端にもなるのです。

次ぎに、フルポリゴンにしたメリットについてもお話ししておきましょう。

ひとつは、斜め移動が出来ること(出た!)。ポリゴンで立体物として描かれているわけですから、クルマはもちろん、プレイヤーキャラの向きも正しく斜めに表示が出来ます。『MM2R』のときのように、クルマの絵は真横を向いたままで斜めに移動するようなことはありません。さらに、アナログパッド(スライドパッド)のおかげで、8方向だけでなく、360度、好きな方向へ移動が可能になります。ぬるぬると移動する戦車は、まっこと気持ちがいいんです!

そしてもうひとつ、これも重要なこと。クルマの装備が「フィールド移動時のグラフィックにも反映」されます! 主砲をはずせば主砲はなくなり、主砲を5本装備すれば移動時にも主砲が5本あるバカげた戦車が表示されるんです。これぞ、『メタルマックス』ぜよ!

まだまだポリゴン化の利点はありますよ。マップも各種のキャラクターもすべて3D化することによって、町やダンジョンをイベントに合わせて狙い通りの視点で見せることが可能になるんです。ズームインやズームアウトの演出だって簡単です。

『MM3』や『MM2R』でも、真横から見たようなダンジョンはありましたが、実は、人間で行けるところだけに限られていたんです。そういう見せ方のマップでは、人間のドット絵だとそれほど違和感がないのですが、クルマだと違和感ありまくりで、とても採用するわけにいかなかったんですね~。

最後に、戦闘シーンも完全に3D化しました。これまでは、戦闘中、ずーっと真横からしか見られなかったクルマが、いろいろな角度から見られるようになります。S-Eの発射口がアップになり、そこからミサイルが次々と発射され、カメラはそのミサイルを追尾して、モンスターに着弾して、ドカーン!! 
そんな、いままでにはあり得なかった戦闘が実現できたのです。

すべてのモンスターがポリゴン化され、ぬるぬると動きまくる。もちろん、『メタルマックス』ならではの戦闘のスピード感は一切、損なわれていません。戦闘モードの“E”も健在です。フルポリゴン化した新しい『メタルマックス』はすごいんです! 皆さんの期待を決して裏切らない出来だと自信を持っています!

では、ここで懐かしい合い言葉をいってみましょう。

「メタルマックスは、絶対オモシロイ‥‥ぜよ!!!」

■今回の土佐弁

いごっそう……快男児、酒豪、頑固で気骨のある男などを意味する。
めっそ……たいへん、とても
まっこと……「まことに」を強調する時に使う
~ぜよ……~だよ、~ですよ
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