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Dr.タウチのMM通信


【第7回】メタルマックス・トラベラー

今週も元気よく! 新MM通信いってみるぜよ~。
さて、今回はボクと『メタルマックス』の世界を旅してみたいと思います!

さっそく『MM4』の世界を……といきたいところですが、まだプレイしてないユーザーさんにとってはネタバレになってしまいますから、とりあえずは『MM3』ということで。
『MM3』もまだ未プレイという方もいるかもしれませんが、そこはご勘弁願います!

では、『MM3』のスタート地点、クライング・ママから順番に見て……いくぜよ!


◆クライング・ママ

ここは、主人公が死からよみがえった場所。
お馴染みのマッドサイエンティスト、Dr.ミンチの研究所がここにあったからですね。
この場所の名前の由来は、破壊されたショッピングモールの壁がまるで“〈大破壊〉の悲劇を嘆き哀しんでいる女性”に見えるところからきています。


◆ワラ

絶壁を流れ落ちる大きな滝がシンボルとなっている町、ワラ。
その名前の由来は滝の水、“Water”からきています。
「ウォーター」でなく、よりネイティブな感じで「ワーラー」と発音してみてください。
見どころはやはり大きな滝ですが、ここの特産品「マンマメロン」も、じつは美味しいですよ!?


大きな滝があるワラの町。畑では「マンマメロン」が栽培されている。

◆シエルタ

五角形の大きな壁、そしてその周囲を堀で囲まれている要塞の町です。

この町には悲しい歴史があります。
シエルタはノアから逃れるために作られたシェルターでした。
しかし、完成したシェルターに入ることができたのは、その施設の建設を指揮したキングズレー・“キング”・ギンスキーの一族と関係者だけ。
「シェルターに入れてもらえる」と信じて建設に従事した者たちの大半はキングに裏切られ、シェルターの中へ入れてもらえなかったのです。
シエルタの町の隅にあるガイコツの山は、そのときに見捨てられた人々の成れの果て……。
ちなみに、キングは『MM3』のヒロイン、コーラの祖父です。
作中に出てくるギンスキーは、キングの息子リチャード・ギンスキー。つまりコーラの父。
キングはとっくに亡くなっています。

シエルタのモデルは、アメリカのペンタゴン(国防総省)と言われることが多いのですが、本当は函館の「五稜郭」なんです。
五稜郭は星形をしていますが、さすがにそのままそっくりマネるのも気が引けるし、作るのも大変そうだったので五角形にしてみました。
それがペンタゴンと誤解されるようになった理由です。


五稜郭。江戸時代の末期、北海道函館市に建造された稜堡(りょうほ)式の城郭。
(撮影:Dr.タウチ)

◆ヌッカの酒場

おかまのヌッカさんが取り仕切る素敵な施設。
もとは銀行だった建物ですが、いまでは冒険者たちが集まる酒場になっています。
入り口にある看板の“Bar”の文字が、元々は“Bank”(銀行)だったことを物語っています。

ヌッカの酒場にいると、ときどき「ド───ン!」という爆発音が聞こえてきます。
じつは、酒場のまわりには無数の地雷が仕掛けられているのです。
そうとも知らず、うっかり近づいたモンスターが地雷の餌食に……。
その際の爆発音が聞こえてくるというわけです。
ちなみに、空から襲ってくるモンスターは、2階に設置されたバルカン砲で撃ち落としています。
さすが『メタルマックス』の世界にある酒場ですね。


『MM3』ヌッカの酒場の全貌。
酒場の看板をアップすると、もとが“Bank”だったのがわかる。

◆ビーカップ

ヌッカの酒場から南に向かうと見えてくるパラボラアンテナ……それがビーカップの町です。
ゲーム中ではわかりづらいですが、パラボラアンテナの丸み部分がちょうどブラジャーのサイズのBカップぐらいに見えることから、そう呼ばれるようになりました。
もしアンテナがめっそ大きければ、町の名前はシーカップ……いや、ジーカップになっていたのかも。


巨大なパラボラアンテナの施設が町となった、ビーカップ。
ほら、丸い部分がブラジャーのBカップぐらいに見えるでしょ!?

◆グレートキャノン

ビーカップの西の荒野にそびえ立つ、巨大な建造物。
それは、テーブルマウンテンの上に建てられた要塞です。
〈大破壊〉の最中、ノアに対抗するために建設されたもので、かつては人類の抵抗の拠点として活躍しましたが、いまでは廃墟と化しています。


◆ラスティメイデン

グレートキャノンの西にある海岸を北上すると、そこに座礁したRO-RO船が見えてくる。
それがラスティメイデンです。
“錆びた処女”と呼ばれる町を牛耳っているのは、ヤマダニンゲン家。
先代の死後、この町には異変が起きています。
長男のタロミオは冷血党に殺され、次男のジロミオは心を病んで監禁されている。
いまでは三男のサブロミオが“ハッピー教団”という怪しい新興宗教を立ち上げ、その教祖として町に君臨しています。
この町の秘密に近づくためには、残念ながら、ハッピー教団に入信するしかありません。

ハッピーーーッ!


RO-RO船(ローローせん、英語ではroll-on/roll-off ship)とは、
ランプウェイという船と岸壁を橋渡しする荷役設備を備え、
自動車やトレーラーなどの車両を収納・運搬できる貨物船のことです。

◆ドゥーム球場

〈大破壊〉以前は、あのニセンイチローも活躍した開閉式ドーム球場です。
しかし、〈大破壊〉がこの球場の様相を一変させました。
観客や選手はゾンビとなり、ミュータント化したモンスターたちの巣窟となってしまったのです。

ドゥーム球場のモデルは福岡ヤフオク!ドームとナゴヤドームです。
外壁は福岡ヤフオク!ドームを、上のドーム部分はナゴヤドームを参考にしています。


ドゥーム球場のモデルになった、福岡ヤフオク!ドームの内部と、ナゴヤドームの外観。
(撮影:プロ野球好きな運営者)

◆ホホアナ

荒野にあるでっかい穴。それが採掘の町、ホホアナです。
荒廃したこの世界では、採掘場でさえ町になってしまうのです。
ボクは工事現場にある巨大クレーンが大好きで、町中で見かけるとついつい写真を撮ってしまいます。
そんなわけで、ホホアナにもクレーンが設置されています。

ホホアナは、計算から導き出された町で、とても理論的に作られているんですよ。
『MM3』でマップは3Dで描画することになりました。
そこで、より高低差を取り入れた地形を作ろうということになったのですが、ビーカップやグレートキャノンといった高さのある建造物があるので、上に伸びるのではなく、下に掘りさげて高低差を出してもいいのではないか? そんな発想で作られたのがホホアナなのです。


ホホアナ。クレーンを使って町の下層へ移動するというギミックで、
この町で暮らす人々の生活感を表現した。

◆ジャンプキャンプ

破壊された高速道路の高架下に作られたのが、ジャンプキャンプです。
このマップも、高低差を考慮して設計しました。しかも立体交差です。
スーパーファミコンの時代は、立体交差を表現するのがとても困難でした。
その当時の代表的なRPG『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズでさえも、立体交差の表現には苦労していたように思います。
それが、3Dポリゴンなら苦もなく表現できてしまうのです。
高低差もそうですが、3Dポリゴンはマップ作りの可能性を大きく広げてくれました。


立体的で高低差のあるマップを意識したジャンプキャンプ。

◆プエルト・モリ

港町のプエルト・モリ。
この町でいちばんやりたかったのは、長崎県にある眼鏡橋を再現することです。


眼鏡橋。長崎市の中島川に架かる石造二連アーチ橋だ。(撮影:Dr.タウチ)

眼鏡橋のような立体的な構造を表現してみたくて、プエルト・モリのマップを作成しました。
橋の部分は我ながらうまく再現できたと思います。
でも、眼鏡橋を再現することにこだわりすぎたあまり、マップサイズが大きくなってしまいました。
マップが大きくなってしまったなら……ということで、そのぶんイベントもテンコ盛りにしてみた。
そして、この町にもボクの大好きなクレーンがいっぱい並んでいます。


プエルト・モリの町。ズームインすると……ほら、眼鏡橋が!

◆バイオキングダム

そこは、深い森に囲まれ、建物自体も緑で覆われている。
タンクレディという女博士がバイオタンク──つまり、生体戦車を造ってくれるところ……。
『メタルマックス』の世界では、多くの土地が荒廃し、渇ききっています。
その反面、人間が介入しなくなったことで、草木が盛んに生い茂るところもありました。
バイオキングダムにある森は、そういう場所だったのです。
建物の外見を単なる廃墟やビルにするのではなく、植物に覆われた建築物にすることで、“バイオタンクという生命感溢れるものを造る場所”ということを表現しています。


バイオタンクの建物。『MM』の荒廃した世界では珍しく、緑に溢れた場所。

◆サイドウェイ

ここは、高速道路のサービスエリアがそのまま町になったという設定です。
人々はクルマに乗るのではなく、クルマの“中”に住んでいるのです。

『MM3』が舞台にしているのは、アメリカ中西部あたりです。
でも、このサイドウェイの道が左側通行のように見えるため、プレイヤーの皆さんを困惑させてしまいました。
これは日本の高速道路にあるサービスエリアを参考にしたために生まれた誤解ですね。
そもそも、アメリカに日本のようなスタイルのサービスエリアはあまりなかったように思います。

『MM3』の開発中は舞台設定をそこまで明確に規定せず、マップを作っていた感があります。
その反動なのか、反省なのか、あるいはたまたまなのか。
『MM4』ではヨーロッパをかなり意識してマップを作りました。


サイドウェイの全景。日本のサービスエリアを参考にしてマップを作成したせいか、
道路が左側通行のように見えます。

◆摩天楼アイランズ

テッペンタウンやフォレストピークなど、海に沈んだビル群で構成されたエリアです。
じつは、当初の計画では摩天楼アイランズは7つのビルで構成されるはずでした。
ところが、実際には5つしかありません。残りの2つはどこへ行ったのでしょう?

その答えは、東の果てにあります。そう、ツインタワー!
『MM3』は、さまざまな都合で当初の予定より施設のマップが2つほど少なくなりました(まあ、いつも最初に計画する際のボリュームが大きすぎるんですけどね)。
その、なくなったマップを補填するために、急遽、摩天楼アイランズにあったツインタワーが引っ越しをすることになった、というわけです。


摩天楼アイランズ1と2のダンジョン。


こちらは、やむなく東の果てへ移動したツインタワーの屋上部分。

◆ドールハウス

ピンクのクマ(犬のようにも見えますが)の形をしたおかしな建物。それがドールハウスです。
設定では、公園や遊園地にある遊戯用施設ということになっています。
〈大破壊〉後、そこにドール博士が住み着いたのでしょう。
『メタルマックス』はときどきこういう、ちょっとした悪ふざけをします。
どうしてかって? だって、その方がおもしろいじゃな~い。


ドールハウス。長年の汚れで、クマが泣いているように見えます。

◆エルルース

巨大な地下街と区画整理された町並み、そして長大なタワー。それがエルルースです。
ここの地下街のモデルは、福岡や名古屋に実際にあるもの。
そういえばドゥーム球場も福岡と名古屋にあるプロ野球場をモデルにしていますが、これはまったくの偶然。
ちなみに地上は、札幌市内をモデルにしています。
なお、エルルースタワーは完全に空想の産物です。
考えてみれば、日本の大都市を3つもモデルにした、ずいぶんと贅沢な町ですね。
本当は夜景にして中央の並木をイルミネーションで飾り付けたかったのですが、ここだけ唐突に夜景なのもおかしいので、そのアイデアは断念しました。


エルルースの地下街と町並み。福岡・名古屋・札幌がモデルになっている。

◆ワナナバニ研究所

バナナ? ワニ? 何のことでしょう。ここは「ワナナバニ」という植物を研究していた施設です。〈大破壊〉後は、研究していたそのワナナバニが食料となり、ここまで生き延びてきたようです。

この町で発生する人探しをするクエストは、あの『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でサマルトリア王子を探すイベントをオマージュしたものです。
さんざん探してやっと見つけたのに、相手の方から「いやーさがしましたよ」などと言われてしまうというアレ。
ああいう名セリフを生み出せる堀井雄二氏は、やっぱり天才ですね。


地上3階、地下2階構造だったワナナバニ研究所。

◆軌道ステーション

転送装置を使ったとき、転送事故で行くことになるのがこの軌道ステーションです。
『MM3』の軌道ステーションでいちばんやりたかったことが、諸事情でできませんでした。
転送事故で行った先の階段を下りると、周囲が真っ青の天空になっているという衝撃──それを表現したかったなぁ。
『MM3』では諦めましたが、どうしてもやってみたかったので、『MM4』では無理を言って軌道ステーションを再び登場させました。
ただ、『MM3』と同じようでは芸がありませんから、あれこれ考えた末に“宇宙ステーション”という大きなオマケをつけました。


軌道ステーションの地上部分と、最上階へ上ったときの画面写真。
宇宙から地球を眺められる。

◆悪党ミュージアム

ビルが破壊されてワヤ(今回の土佐弁を見てね!)になり、壁だけが残った場所。
それでも人々は、少しばかり残った屋根に寄り添うようにして暮らしている。
とても『メタルマックス』らしくて、好きな場所です。
なので『MM2R』でも再登場させてみました。


悪党ミュージアム。ここで、まだ倒していない賞金首の情報を聞くことができた。

◆ネツィブ・メラハ

ここは、おそらくRPG史上、もっとも難しいダンジョンのひとつではないでしょうか。
各階が回転するというギミックが仕込まれているのですが、そのパターン数は天文学的な数字になります。
3Dポリゴンならではのダンジョンを、と思いついたギミックがこれです。
今後、もうこれほど高難度なダンジョンは作らないでしょうね。


いかがだったでしょうか? メタルマックス・トラベラー(『MM3』編)は、ここまで。
そして最新作である『MM4』の世界も、これ以上に作り込んだものとなっています。
機会があれば、メタルマックス・トラベラー(『MM4』編)も語ってみたいですね。

では、旅の終わりにいつもの合い言葉を叫びましょうか。

「メタルマックスは、絶対オモシロイ……ぜよ!!!」

■今回の土佐弁

いごっそう……快男児、酒豪、頑固で気骨のある男などを意味する
めっそ……たいへん、とても
ワヤ……めちゃめちゃ、台無しになること
~ぜよ……~だよ、~ですよ
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