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Dr.タウチのMM通信


【第8回】みてるぜ!(Part2)

ハンターの皆さん、こんにちは!
皆様の『メタルマックス』シリーズへの意見はもう見てないと油断しているかもしれませんが……まだまだ見ているぜよ!

というわけで、第3回で書いた「みてるぜ!」のPart2をお送りしましょう。
前回は『MM3』だったので、今回は『MM2R』のメモを公開!

『MM2R』のメモに記された項目を数えてみたら、およそ700ありました。
そのうち、実際に改善する必要があるシステムなどは『MM3』のときほど多くはありませんでしたが、だからといって気は抜いていません。
注意深くメモを見ていくと、“あるシステム”について、ユーザーからの要望が多くあることに気がつきました。
それは……「トランクルーム」に関するものです。

※当時書いたメモをほぼそのまま掲載しているので、わかりにくい言い回しなどが含まれている場合もあります。
あらかじめご了承ください。

トランクルームを整頓したい!

左が『MM2R』、右の画面写真が『MM4』のトランクルーム。

「トランクルームの整頓」については、ユーザーからの要望が思いのほか多かったので、たまげました。
じつは、この要望は『MM2R』の開発中に上がってこなかったんですよ。
おそらく、開発中はプログラムのバージョンが変わったり、別の検証をするためにゲームプレイを最初からやり直すことが多いため、同じセーブデータを使って延々とプレイし続けることがなかったからでしょう。
だから、トランクルームにアイテムが溢れ、整頓したくなる状況になることが、『MM2R』の開発中は少なかったと考えられます。
最初から最後まで通してテストプレイできるのは、マスターバージョン(完成版)が上がる数日前にようやく数回だけ……なんて状況だったりします。
そんな中で、トランクルームの使い心地を感じられなかったのは、テストプレイ時の盲点となったわけですね。
こういうことがあるからこそ、製品版を買ってプレイしてくださる皆さんからのご意見、要望を拾い上げるのが、とても重要になるのです。

トランクルームに預けられる数が少ない!

トランクルームにアイテムや兵器を預ける数は、バックアップメモリー(データをセーブするためのメモリー)の容量に大きく影響します。
『MM2R』のセーブファイルは3つあり、この数をキープするためには、トランクルームに預けられるアイテム数は100個が限界だった。
ただ、実際にプレイしていただいたユーザーからは「セーブファイルを減らしてもいいから、トランクルームを大きくしてくれ」という要望が少なくありませんでした。
たしかに、これ以上トランクルームの容量を増やすには、セーブファイルを減らして容量を稼ぐしかありません。
そんなわけで『MM4』はセーブファイルをひとつ減らして2つになりましたが、トランクルームに預けられるアイテムの数は最大500個へと拡張しました。
しかも、道具や鉄くずなどのアイテムは、複数預けてもひとつの枠でまとめられるように改良しています。
これにより、『MM4』のトランクルームは実質的に『MM2R』の5倍以上になったのです。
また、ヌッカの酒場に登録できる人数も40人に増えています。
この人数も、バックアップメモリーのサイズに大きく影響される項目でしたからね。
トランクルームの話からはちょっとズレますが、『MM4』では「もっと多くのクルマを持ちたい!」という要望が多くのユーザーから寄せられているようです。
これは明らかに「戦車市場」がある影響でしょうけど……これについてはつぎの課題だと思っています。
しかし、この課題をクリアするためには、いよいよセーブファイルをひとつにする以外方法はないかもしれませんよ。
・セーブファイルは2つのままがいいか?
・バックアップメモリーを増やすために、セーブファイルをひとつにするか?
ユーザーはどちらを希望するだろうか……。多くの方の意見を聞いてみたいところですね。


『MM2R』と『MM4』のセーブ画面。

つぎに多かった要望は、やはりこれ。

兵器の“超改造”がめんどうくさい!

『MM2R』と『MM4』で兵器を超改造するシーン。かなり違いますな。

そう来ると思ったぜよー。
でも、兵器の超改造がめんどうくさいのは、じつは“わざと”だったりするのです。
なぜそんなことをするかというと、「貴重なアイテムを消費して、重大な作業を行っているのだ」という雰囲気を表現するためです。
そういうフレーバー(香り)みたいなものを演出するのって、大事なことだと思う。
ふつうの改造の限界を超えた「超改造」が、一瞬で完成してしまうと雰囲気が出ないでしょ?
やっぱり「がんばって改造したぞ~」という手応えをユーザーに感じてもらうため、『MM2R』では超改造をする演出がわざわざ入っているのです。
ただ、『MM4』では超改造そのものが、『MM2R』よりもはるかに楽にできるようになりました。
超改造が楽になったのは素晴らしいこと。
そうなると、『MM2R』のときのような超改造の演出を毎回見なきゃいけないのは、さすがに……えずい。
“演出のスキップを可能にする”という選択肢もあったと思うのです。
でも、スキップを可能にしたら、たぶんみんなそうするでしょう?
せっかく超改造の演出アニメを作っても、最初は見てくれるかもしれないけど、あとはスキップするよね……。
結局、『MM4』では演出用の新規アニメをなくし、回数を指定して一気に超改造できるようにしました。
これがいまどきのゲームとしては、雰囲気と効率のバランスがいちばんいいのではないか、と思っています。

そして、『MM2R』のメモの中には、こんな意見もありました。

チャレンジハントを全部クリアしたが報酬なしかよ!

『MM2R』では、この手のサブイベントに対し、あえて報酬を用意していませんでした。
その理由は、「サブイベントに報酬があると、それをやらないと損した気分になるから」。
でも、『MM2R』が発売されてから、多くのユーザーに“サブイベントの報酬に期待する”という心理があることがわかりました。
“報酬がある”とはどこにも明記していないのに、ユーザーは「サブイベントをやれば、何か報酬があるはず」と期待するのです。
その期待があるからこそ、「なんだー、チャレンジハントを全部やっても報酬ないのかよー!」となってしまう。
そこで、『MM4』では“勲章システム”を導入してみました。
これは、目標を全部やらなくても損はしない。
でも、それを達成すれば特別に得られるものがある。
『MM4』では、そのぐらいが妥当な線だと考えたのです。
もしも、勲章を得た人にさらなる報酬が発生したら……プレイヤーはどう思うか?
やる気が出る? それともゲンナリする?
このあたりも、どんどんユーザーの意見を聞いてみたいところですね。


『MM4』でセーブをすると、どの勲章を獲得しているかがわかる。

さて、つぎはこのメモを取り上げましょう。

バースト砲に代わる大砲が必要

会心の一発の確率が高いもの・迎撃されないもの

これまでの大砲系の兵器は、弾を複数発連射できる“バースト系”が最強になりがちでした。
その打開策については延々と考え続け、ようやくたどり着いた答えがこのメモなのです。
たとえば、迎撃率がとても高いモンスターとの戦いがあれば、連射ができるバースト砲は役に立ちません。
バースト系の大砲で弾を連射しても、高い確率で迎撃されてしまえば、モンスターにあまり当たらないからです。
でも“迎撃されない”という特長がある大砲があれば、迎撃率の高いモンスターとの戦いで、その性能が活きてくるのです。
ちなみに『MM4』の迎撃されない大砲ですが、“サウルス砲”に代表される重量級の大砲に多かったので、開発コードは「サウルス」になったのでした。
(このあたりのことは、新MM通信の第6回にも書いています。)
こうして『MM4』では、多くの迎撃されない大砲が存在することになりました。
あなたはバースト派? それともサウルス派? どちらを選びますか!?


重さはかなりあるけど、迎撃されない特性を持つ“サウルス砲”。

じつは、『MM3』から導入予定だった要素が、『MM4』でようやく実現できたものもあります。

全アイテムに説明文を表示しよう!

こうメモに書くのは簡単ですが、『メタルマックス』のアイテム数は膨大です!
そのすべてに説明文を用意するとなると、途方もない時間と作業コストがかかります。
さらに、すべてデバッグしないといけません。
つまり、まぁ、要するに……その作業量にビビっていたわけですね(笑)。
しかし、ついに『MM4』の開発当初からは“全アイテムに説明文を用意する”ことを決めました。
ええ、やりましたとも!
数ヵ月にも及ぶ、とても時間のかかる作業でしたが、それをやっただけの価値はあったと思っています。

もうひとつ、『MM4』にどうしても導入したいシステムがありました。
それは、セーブデータ継続の細分化です。

◎2周目以降のデータの引き継ぎ
 『MM4』では引き継ぎデータを選択できるようにする。
 以下の項目ごとに引き継げるようにする。
 ・キャラクターの成長データとその装備品
 ・クルマの改造・装備データ
 ・人間用道具(一般・回復・戦闘)のデータ
 ・人間用装備のデータ
 ・トランクルームのデータ
 ・インテリアのデータ
 ・チャレンジハントのデータ
  ※1周目では、チャレンジハントを最後まで達成できないようなバランスにする。
  ※なお、データを継続する場合は、ほかのハンターのハンティングスコアも継続する。
 ・BSマップのデータの継続
 ・上記以外の引き継ぎデータ(ホックの店、LOVEマシン、ヤキトリ砲など)

『MM4』のエンディング後、セーブデータ引き継ぎ画面になる。
どのデータを引き継ぐか? かなり細かく設定できる。

これを見る限り、メモをつけた段階で、ほとんどの項目は最終型に近い形までイメージできていたようです。
ちなみに、上記のセーブデータ引き継ぎに関するメモは、下記のようなユーザーの意見が多かったことを踏まえて書き始めたものです。

「インテリアのリセットをしたい」
「BSマップがリセットされるのがイヤだ」
「装備やクルマを引き継がずに、難易度:ハードにチャレンジしたい」

『メタルマックス』シリーズは、1周目だけではすべての要素を味わい尽くせない作りになっています。
自由度の高さから、2周目・3周目・それ以降でも新たな発見がある。
1周目とは違うクルマやキャラクターをメインで使う、といった遊びかたもできます。
だからこそ、店の売り物のパターンが変わるなど、周回プレイを前提としたシステムも用意しているわけです。
そこで、周回プレイを遊んでくれるユーザーの意見も大切にして、セーブデータの引き継ぎに関することは手厚くしようと、『MM4』で“セーブデータ継続の細分化”の導入を決めたのです。

つぎは、少し毛色の違うメモです。

次回作ではフィールド上でも、細かく地名がわかるようにしたい。
地名はエンカウントデータから拾えるはず。

『MM4』の画面。左上に地名が表示されるようになった。

『MM2R』では、モンスター図鑑で各モンスターの出現場所がわかりましたが、フィールド上で細かな地域名を知ることはできませんでした。
次回作では、それを改善したいと思って書き残したメモです。
モンスターの出現には、“エンカウントデータ”が影響します。
フィールドや町、ダンジョンなどの各マップにはエンカウントデータが貼りつけられており、それをプログラムが参照することで、どんな場所にどんなモンスターが出現するかが決定されます。
モンスター図鑑でモンスターの出現地域がわかるのも、このエンカウントデータのおかげなのです。
ならば、モンスター図鑑と同じように、エンカウントデータから各エリアの地名を拾うことで、その名称をフィールド上で表示できるはず。
こうして『MM4』では、フィールド上で地名を表示させることが実現できました。
その地名は、フィールド上でコマンドを開くと、画面の左上に表示されます。
フィールド上で表示される地名が変われば、出現モンスターも変化する。
これを覚えておけば、チャレンジハントなどでモンスター探しをする効率がアップすると思いますよ。

時には、ユーザーからの要望がそれほど多くなくても、実験的な狙いを込めて、あえて導入を試みるシステムもあります。
『MM2R』で実装した“クルマに複数人同時に乗れる”システムは、まさにそうでした。


『MM2R』から1台に4人が乗れるようになった。

じつは、従来の“一人一台”システムと比べると、プログラムがかなり複雑化しています。
ですから、いちおう実装したものの、製品版に残すかどうかは、マスターアップギリギリまで検討したんです。
“一台にひとりしか乗れない”よりは“クルマに複数人同時に乗れる”システムの方がより自由度が高まり、さらに多くの遊びかたができるからです。
結局、大きなバグが出なかったので『MM2R』でめでたく採用された、というわけです。
そして、“クルマに複数人同時に乗れる”を採用した後のボクの気持ちは、下記のメモが語っています。

クルマ4人乗りも定番確定だね。
もう『メタルマックス』には欠かせない仕様になったな。

スーパーファミコン版『MM2』のときから導入されていた、古いシステムがあります。
しかし、そのシステムはいつも同じではなく、新作を作るたびに少しずつ改良しました。
それが「今週のターゲット」システムです。
最初に導入されたのは『MM2』。
おおむね好評でしたが、当時は時間制で、その終了時間がプレイヤーにわかりにくかった。
そのため、プレイヤーとしてはいつの間にか「今週のターゲット」が終わっていて、賞金がもらえないという事態が多発しました。
その部分は、ユーザーの大きな不満となりましたね。
“今週”というフレーズを表現するために、一定時間でその期間が終わるという仕組みにしていたわけですが、その残り時間がプレイヤーに伝えられなかったのがよくなかったようです。
また、「今週のターゲット」を行っている最中にプレイヤーがレベルアップすると、その期間が終わってしまうというシステムも不評でした。
そして、時を経ての『MM3』。
このときには、まず「時間切れ」を廃止して、代わりに「目標数」を設定しました。
これで『MM2』のときに抱えていた問題はなくなりましたが、すべてのハンターオフィスで同じ内容だったので、地域性が希薄になってしまいました。
ほか、「苦労したわりに、報酬があまりおいしくない」というユーザーの声もありました。
そこで、つぎの『MM2R』では、さらなる改良を施すことになります。
当時のメモに、こうあります。

◎今週のターゲットの仕様変更案
いままでのように1種類ではなく、複数出して、
どれをターゲットするか? ユーザーが選べるようにしよう!

『MM4』のハンターオフィスで受けられる“今週のターゲット”。

これは、うまくいっただろうか?
いままで散々システムを変更してきたけど、この改良でようやく落ち着きそうです。
そうそう、『MM4』では目標最大数も20体に増やしました。

メモはまだまだ山ほど残っているのですが、キリがないので、つぎのメモで最後にしましょう。

◎変更するシステム
・改造システム=改造パターンの系統図方式
 系統図(ツリー型)はやめて、改造パターンを直接選択する方式(リスト型)に変更。

『MM2R』のツリー型、それに『MM4』のリスト型クルマ改造図。

個人的には、シャシーの改造パターンの表示は、ツリー型が好きなんですよ。
そのほうが、改造で戦車の見た目がどう変わるのか? 圧倒的にわかりやすいからね。
でも、このツリー型は、クルマを2Dで描画していたからこそ可能だった方式です。
ところが、『MM4』にはフルポリゴンの画像しかありません。
フルポリゴンで描画されたクルマを、ツリー型で同時に複数台表示するのは、3DSのハードウェアのスペック上、とても困難なことなのです。
ほかにも問題がありました。
それは、ツリー型で表示したときのインターフェイスの悪さ。
じつは、『MM4』でリスト型にした最大の理由は、まさにコレなのです。
ツリー型の表示で改造の流れを追いながら全シャシーを見るには、全体像を一覧できるのが理想です。
それはつまり、ひとつのツリー全体を、1画面の中に収めなければならない。
3DSの画面サイズ、解像度……到底無理ぜよ!
そこで、『MM4』ではツリー型をあきらめ、リスト型へと変更しました。
その代り、シャシーの改造前でも、その後の3Dモデルをすぐに確認できるようにしました。
これなら、リストの中でカーソルを動かすだけで、シャシーの見た目の変化も一目瞭然。
『MM4』のクルマ改造図はボクの好きなツリー型でなくなったけど、リスト型ならではの、なかなか便利なシステムが出来上がりました。

こうして、700項目にも及ぶメモとの格闘の果てに、『メタルマックス』のゲームシステムはひとつの完成を見ることができました。
『MM4』はシリーズ最高の出来だと自負しています。
シリーズのファンはもちろん、『メタルマックス』をまだプレイしことがない未経験者にも、ぜひ遊んでほしいと思っています。

さてさて、やっといつもの合い言葉までたどり着きました!

「メタルマックスは、絶対オモシロイ……ぜよ!!!」

■今回の土佐弁

いごっそう……快男児、酒豪、頑固で気骨のある男などを意味する
えずい……つらい、しんどい
~ぜよ……~だよ、~ですよ
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